俺と喘息重積発作
独り暮らしの人が、死んだ後にコロナって判明する事例が出てきている。 これは急速に悪化したと報じられているが、本人が我慢していたケースも 多いんじゃないかな。だんだんと呼吸困難が悪化して死に至る。 喘息やCOPDと似た症状だそうだ。どっちも本当に苦しい。 俺も一番酷い時は、ちょっとタバコの煙を吸い込んだだけで歩けなくなるぐ らいの症状が出ていた。 スロ屋は生活の糧として行かざるを得なかったし、飲み屋も誘われれば行く だろう。 スロ屋は自分の意思で座っているので、煙いと感じたら途中退場はできる。 飲み会は打ち上げなんかだと辞退するのは難しい。 そしてこの苦しさは他人に話しても絶対に理解されない。鼻で笑われるだけ だ。 あの時は夜も苦しかった。仰向けに寝ると呼吸が全然できないので、椅子に 座って寝るようになった。30分ぐらいウトウトすると苦しくて目が覚める。 息は吸えるんだけど吐く事がスムーズにできない。 苦しくて暑いのか寒いのかもわからなくなってくる。 意識を失ったのか眠りに落ちたのかもわからない。 苦し紛れに夜中音楽を聴いて気を紛らわしたり。 寝不足が続き、昼間はスパで昼寝することが多かったっけな。 そう。ずっと我慢していたのだ。 SpO2は90前後でいつ窒息死してもおかしくない状態だった。 別に死んでもいいかなとは思っていたが、なかなか死なないものだな。 すいている店を選んではいるつもりだったが、それでも症状は改善されず。 3週間我慢したが、このままでは埒が明かないと思って病院に行く事にした。 駅まで3分の道なのに全然歩けない。1歩進んでは座り込んで休む。 3分の所を40分かかって歩いた。 座っている分には平気なのだが歩くのがつらい。ここ3週間もスロ屋まで行 くのは大変だったが、ガラガラの店に行って座ってしまえば後は楽に収入に なったので、会社員じゃなくて良かったなとか思ったりしていた。 階段を昇ってホームまで行くのは無理そうだ。タクシーに乗ろう。 当時行きつけだった病院に行くと、医師や看護師達が「大変だ!」と慌て 始めた。3週間耐えられたのだからそんな慌てなくても、と内心は思った。 救急車だと間に合わないので病院の車で大きな病院に運ぶってことに。 え? そんななの? SpO2は88だった。 酸素ボンベ付きの車椅子に乗せられた。なんかおおごとではないか。 即入院になった。 俺は何事も我慢するタイプの人間である。何が起きようともそんなに大した ことないと思ってしまう。しかし、COPDと喘息重積発作の死亡率は結構 高かった。油断しているとコロッと死ぬぐらいには。 発作が起きたら躊躇せず救急車を呼んでくださいと怒られた。 タバコの煙がトリガーなので、受動喫煙の可能性のある場所に行くのも厳禁 と。それは無理でしょう。家出れなくなる。 この時の入院は2週間ぐらいだったかな。暇だった。 院内は禁煙なので症状が出ることも無い。健康なのに入院している気分だっ たな。 退院後も稼働はしていたし飲み会にも顔を出していたので、たまに症状は出 ていた。 しかし吸入薬のおかげで軽症で済んでいる。せいぜい肌が紫色になったり、 ぜーぜー言うぐらいだ。SpO2も慣れのせいか92ぐらいなら苦しくない感じで ある。 最初に使っていた紫色の吸入薬(気管支拡張剤と吸入ステロイド剤の合剤) は喘息とCOPDに対して効果覿面だった。 あまり効果の強い物だと副作用が心配なので、徐々に薬は弱くしてもらった。 自己申告しないとおそらく強い薬のままだっただろう。 今はオレンジ色の吸入薬(単剤)を使用中。 そして飲食店も禁煙になり、完全に症状が出なくなった。 症状が出なくなった後も吸入はしばらく続けなくてはいけないそうだ。 しばらくってのがどれぐらいかわからないのだけれど、治った後に吸入を やめて症状が出ない人は17%って数字が出ている。結構低いね。 戻る