俺と占い師 その1
占いで生計を立てている知人がいる。 その人のお客さんで株をやっている人がいて、たまに銘柄についての相談が あるのだが、その占い師は株についてはあまり詳しくないので、俺に意見を 聞いてくる。 俺の知識と言えばせいぜいその辺の本に載っている程度のことであり、調べれ ば誰でもがわかるようなことだが、それでも話し方次第ではとても通じている ように見えるものだ。 コツとしては「この銘柄は必ず騰がる」と断定はしないこと。 答えは「騰がるかもしれないし下がるかもしれない」のひとつだが、これを うまく言い方を変えて説明するのが良い。 その占い師もいつも断定表現を避けて、どちらにでも解釈できるような言い回し を多用する人である。 このような曖昧な答えしか出さない占い師を好む客も多くいるのだ。 誰かに話を聞いて欲しいけど否定はされたくないって人は、1人暮らしの老人が 増える今後、どんどん増えていくだろう。 占いの結果はあまり関係ない。その人が気持ち良く話をして満足して帰っていく かどうかが重要なのだ。 戻る