俺とステーキ
ステーキと言えば物凄いごちそうってイメージがあった。 実家ではステーキを食べる習慣がなく、子供時代はおそ らくステーキを食べたことがなかったのだ。 隣の家の子が「昨日サーロインステーキを食べた。」と 良く言っていて、羨ましく思ったものだ。 ステーキは漫画などで見て肉ってことは知っていたが、 未知の物であり凄い物なのだろうと畏怖していた。 上京してステーキを食べる機会が頻繁に訪れた。 今はミートセンターだかに買収されて名前はなくなって しまったが、パットしない中堅スーパーが近くにあり、 そこでステーキ用の牛肉が240円で販売されていたの だ。 しかも。半額で120円になっていることが多々あった。 貧乏学生だった俺は喜んでその120円のステーキを買 ってフライパンで焼いて食べた。美味かったよ。 部位はどこだったんだろう。脂身もあったのでモモ、ヒ レではない。筋が多少あったかな。 ステーキ神聖化はその後もしばらくは続いた。 ホテルでコースを食べる時も選択肢の中にステーキがあ れば積極的に選んでいた。ステーキが一番偉いと思って いたから。 やがてあぶく銭が手に入る身分になり、ステーキは俺の 中でランクを落としていった。 ステーキよりも美味しい物がたくさんある! 戻る