俺と連射
履歴書の特技欄に連射(※1)って書いたことがある。 アホ? いや、これも戦略のひとつだ。 面接官は数多の履歴書を見ているんだから、読書、水泳、音楽鑑賞なんて書いても スルーされるだけ。書いてないのと全く同じである。 わざと突っ込まれるようなことを書いて、その説明をしながら話を脱線させて自分を 売り込んで行く作戦も、なかなか有効だと思う。 「君、この連射ってのは何かね?」 とか聞かれたらこっちの思う壺だ。 しかし、連射ってゲーム以外であまり役に立った事が無いような・・・ 10年以上前の話だが、ハドソンから連射を測定するマシンが発売された。 休み時間になるとみんなで測りまくりの毎日。 これを持ってるのがちりん(※2)だけだったので、「次俺! 次俺!」と取り合い気味だったな。 もしみんなが持ってたらこんなに盛りあがらなかっただろう。 最後は俺の出番だ。 一般人(※3)との差を見せつけてやるっ。 見よっ、これがくそなべ(※4)で鍛えた連射だ。ダダダダダダダダ! おおおおおっ! ←賛辞の声 俺がもて囃されたのは、この短い連射ブームの時だけだったな。 当時のゲームは連射の占めるウエイトが大きかった。 イメージファイト、達人、ファンタジーゾーン、鮫鮫鮫など、押した数だけ弾の発射される硬派シューティング には連射美があった。 極限まで磨かれた連射によって作られた弾幕は綺麗だし、発射音も気持ち良い。 シューティング以外でもいくつか連射の必要なゲームがかあった。 初代ストU(※5)、麻雀学園(※6)、ミスタードリラー(※7)などがそうだ。 やがて都会のゲーム機には連射ボタンが付くようになった。(※8) うちら田舎の方では、連射装置を作る知識の無い人が経営してる場合がほとんどだったので、 しばらくの間は連射の重要性は維持された。 その内、ソフト自体にも連射機能(※9)が付くようになって、連射なんて行為自体が古臭いものに なってしまった。授業中に連射の練習をするのは、巨人の星や明日のジョーと同じ世界になってしまった ので、もう見ることはないだろうな。 用語解説 ※1 連射:ボタンを何度も押す行為。これは押す回数が多ければ多いほど優秀とされる。 連射を表す単位は、回/秒、つまり1秒間に何回ボタンを押すことができるかだ。 ※2 ちりん:同じクラスだった男。名付け親は俺なんだが、なぜちりんになったか忘れた。 語源はきりんってことは覚えてるけど。 ※3 一般人:ここではゲーマー以外の人を指す。小学生でゲーマーなのもどうかと思うが。 ※4 くそなべ:近所の駄菓子屋ゲーセン。もっと省略して「くそ」って言うことも多かった。 「どこ行くの?」 「くそ!」 なかなか酷い会話だ。 ※5 初代ストU:小足の連射が効くので、それだけでピヨってしまう。お手軽強力&見た目があまり美しくないので、 多用すると「小足君」とか「連射君」とか言われ、非難される。 ※6 麻雀学園:脱衣麻雀。Hボタンを連打することによって、乳を揉んだり懐中電灯で股間を照らしたり する機能があったため、Hボタンは良く壊れていた。指を怪我する人もいたな。 学校の近くのピノキオってゲーセンに置いてあって、友人のYが学校帰りにいつもやっていた。 ※7 ミスタードリラー:穴掘りゲーム。スコアラーの世界ではコンマ以下の戦いが繰り広げられる。 パズルゲームやクイズゲームにも連射は必要だ。 ※8 ハード連射:ハード側で連射をしてくれる装置。同期信号を利用したシンクロ連射がメジャー。 ソフトの相性もあり、うまく機能しないこともある。 ※9 ソフト連射:ソフト自体に付いている連射機能。怒首領蜂、蟲姫など、最近のゲームには付いている 場合が多い。連射で差が出なくなったのは、スロットでリプレイハズシを禁止されたような感覚だ。 どうして差が出ない方へ、楽な方へと移行したがるんだ? 人間苦労しないと駄目だよ。 ※10 連射ブーム時代の寵児  高橋名人 当時ハドソンの人。最大16連射とか言われていた。  毛利名人 当時フリーの人。最大12連射だったっけかな。  橋本名人 当時バンダイの人  河野名人 当時ナムコの人   戻る