俺と落とし穴
小学生の時に落とし穴ブームが来た。 ロードランナーが大好きだったし、落とし穴が好きになるのも必然の流れだろう。 俺たちは時間があると落とし穴を作った。 広場に作ったり、浜辺に作ったり、もう手当たり次第に。 今の時代だと落とし穴もニュースになってしまうのだろうな。 落とし穴に落ちるだけじゃ面白くないので、生ゴミを入れよう、糞尿を入れよう、 枝をたくさん突きたてよう、とか、今考えるとなかなか酷いことをしていた。 幸いなのは、人通りの少ない場所に設置していたことだ。 大人が空き地に入ることなんてそんなにないからね。 落とし穴の作り方は簡単だ。 用意する物はスコップと上に被せる物だけ。 穴を掘るのが一番の重労働。 1人だと疲れるので、交替でせっせと掘った。 子供の作る穴なのでせいぜい50cmぐらいのことが多かったけど。 穴を掘ったら、中にオプションを入れてビニール等を被せる。 その上に薄く土を被せ落ち葉を敷き詰めると、もう周りの地面と区別が付かなくなる。 夕刻に作ることが多く、作った後はすぐに解散していた。 そんなわけで、次の日に見ると誰かが掛かった形跡があったりするのだが、その瞬間 を見ることはついぞ無かった。 ある日、盛大な落とし穴を作ろうって話になった。 3連続落とし穴だ。 1つ目に落ちると、ズボズボズボと3つ連続で落ちる仕組み。 我ながら面白いと思った。 穴を3つ掘るんだからいつもの3倍大変である。 一生懸命掘って完成したのだが18時ぐらいだったか。夏なのでまだ暗くは無い。 満足感から気が緩んだんだろうね。 誰が掛かるかな〜、とワクワクしながら帰ろうとしたその時! 自分の作った落とし穴にハマってしまった。 綺麗に3連続で。 戻る