俺と岡田君
同じクラスに岡田って奴がいた。 やや四角い顔で老けていて、あまり覇気がない。 勉強は全くできない。努力しないからできないのか、元々の能力が低いのかわからないが、 10点以下の答案用紙をよく持っていたな。 彼の趣味は立ち読み。(漫画オンリー) それも筋金入りの気合いの入った立ち読みだ。 立ち読みのプロ。もしくは立ち読みの帝王って名前が相応しいかな。 読むスピードも尋常ではない。 単行本1冊読むのに5分かからない。 その速読術を勉強に活かせれば良かったのにね。 学校が終わるとすぐに本屋へ直行。 そして閉店(基本19時ぐらいかな)まで立ち読み。 休日は開店待ちをして、開店と同時に本屋へIN。 昼飯を食べた後に午後の部へと移るようだ。たま〜にクソナベにも来たけど。 彼が好んで通っていたのは、個人経営の小さな本屋。 なぜ客が0人の小さな本屋に行くのか聞いた事がある。 「オタク向けのマニアックな本はここにしかないんだよぉ」 そうだ、彼は中学1年にして強烈なオタだった。 当時「萌え」って言葉はまだ無かったが、いわゆる萌え系の少女が出てくる本を 好んで読んでいたようだ。 こんなに長時間立ち読みされたら店は困るんじゃないのか? もし困らないとしても、気持ち良いはずがない。売り物を触られてるわけだし。 ◆Y屋 客0人の小さな本屋。彼はこの店との共存を目指した。 店のおばちゃんから、 「良く読んでエライわねぇ」 って言われた伝説がある。 皮肉ってことに気が付かなかったのか? 後期には他の客が探してる本の場所を教えてあげる役目を担うことにより、円滑に 立ち読みを行うスベを得た。店の人よりも本の場所に詳しいからね。 ◆成美堂 コラムでもお馴染みの成美堂。 ここで立ち読みをすると、おばぁさんがはたきを持ってパタパタやり始める。 そんな漫画みたいな風景が見れるのはここだけだな。 岡田君もはたき攻撃を食らい続けているが、もう慣れたそうだ。 ここで立ち読みができるのは彼だけだな。 ◆セブンイレブン 立ち読み禁止って書いてあるが、成美堂に比べたら全然ぬるい。 7時から23時まで16時間連続立ち読みした、って自慢された記憶がある。 戻る