俺とお金







おそらくだが、一般家庭よりも躾の厳しい家に育ったと思われる。

うちではお金は穢らわしい物として扱われていたので、お金の話は

タブーだったし、お金を触る機会もあまりなかった。


お金の話をする人間＝卑しい人間

このような考え方が身に付いてしまったので、人前で銭の話をしな

い人間ができあがった。

たまに嬉々としてそれらの話をする人がいるが、聞き流すことが多

い。


では、買い物などはどうしていたか。

基本的におもちゃなど無駄な物（と思われていた）は一切買って貰

えなかった。

教育に必要な物は申請すれば何でも買って貰う事ができたので、不

自由は無いように思うかもしれないが、子供なのだから買い食いは

したいしゲームもしたい。こっそりと「くそなべ」に通ったものだ。


勉強に関しては完全に放任主義の親だったが、学費や仕送りなどは

して貰えた。

仕送りは月17万ほど貰っていた。妹は俺よりも多い22万だったが、

これは女の子だから防犯面のしっかりしたマンションに住ませるた

めだと言っていた。

お金の話はしない人間に育ったので仕送りに関しても何も言わなか

ったが、親の方から仕送りの話をしてきたのだ。

今思うと、兄妹で合わせて月40万の仕送りに、高い学費（妹はクソ

高いお嬢様大学）を全部出してくれたのは、大変なことだったのじ

ゃないかと思う。一般サラリーマンでは捻出するのは難しそう。


でも、「ありがとう」と言ったことは一度も無い。


今も実家ではお金の話を一切しないのは変わらない。

介護、葬式、相続などについても話し合ったことはない。

おそらく俺がダメ人間なのはわかっているから、面倒臭い手続きは

全て生前に整えてあるのだと思う。

葬式も多分社葬になるだろうから、俺は何もしなくていいはず。


結論。お金は人間性を歪める悪しき物。





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