俺と導かれる
堅苦しい格好はあまりしない方だ。 ネクタイとかスーツは嫌い。 先日知人達の集まりがあって、何となく、本当に何となくだが、黒の スラックスに白いシャツを選んだ。 両方とも1回も着てない物だ。なぜだかそんな気分になり封を切った。 「あら、銀ちゃん珍しいわね。いつもはふざけた格好なのに。」 そんなことを言われる始末。 いつもふざけた格好ですいませんね。 この日集まったのは10人。 行き付けの中華屋で飲み会。 乾杯の時にMさんが神妙な面持ちで発言した。 「昨日Sさんが亡くなりました。」 Sさんは我々の共通の知人で、画家の先生である。 まだ若いのに。急死だそうだ。 母親が1週間前に亡くなり、後を追うかのように逝ってしまったと。 飲み会の終わりの方で誰かが気付いた。 我々の服が全員白黒の2色のみだ。 いつもはカラフルな服を好む人達なのに、これはどう言う事だろう。 Sさんに導かれたとしか思えない。 戻る