俺と公安
仕事で公安に出入りしていたことがある。 警備部の公安課だ。 良く行く公安課は警察署の入口から遠い所にあった。 4Fまで上がって3Fまで降りてまた4Fまで上がるみたいな。迷路かよ。 近道で茶道室みたいな部屋を横切ったりもした。普通に行くと遠いから。 公安課の入口のドアはいつも閉じられていた。他の課はオープンなのに。 ドアの横にはごっつい板に墨で極左暴力集団対策本部みたいなのが書かれている。 課によって対象が異なり、右翼、極左、共産党、外事などに別れているのだ。 外事課だけ行ったことが無い。 ドアを開けるとビーって音が鳴る。 警察署内でビーってなるのはここだけじゃないか? でもね、ビーッって鳴っても中の人は無関心で、こっちにやってくる気配も無いんだ。 場所が場所だけに、誰も覗きに来ない方がかえって恐い。 「こんにちわ〜」って言いながら奥へ入って、課長の所へ挨拶をしに行く。 公安って他の部署と何か違うんだよね。 特に上の方の人のどっしり感。タダモノデハナイ。 あまり忙しそうにしてる人はいなかった。配属されたばかりの新人ぐらいか、キビキビ 動いていたのは。 彼らの仕事内容についてはここでは特に触れない。 消されるから。嘘だけど。 いつも帰り際にお菓子や缶ジュースをどっさり貰った。 無造作にスーパーの袋にたくさん詰めて持たせてくれるのだ。田舎のおばあちゃんかよ。 ここの公安課長は力を持った人で、コネが役に立ったこともあった。署長も。 戻る