俺と歌舞伎
TVや動画で歌舞伎を観た事はあるが、本物を生で観た事は無い。 今回知人に招待されて、「通し狂言 双蝶々曲輪日記」を観ることになった。 これは「ふたつちょうちょうくるわにっき」と読む。 出演は松本幸四郎、市川染五郎である。 半蔵門にある国立劇場へ。 客の年齢層は高め。文化レベルの高そうな人が多いようにも感じる。 場内には飲食店もいくつかあるが、値段高めで内容は「うーん」らしい。 最後のひとつです! と煽っていたカツサンドを買った。 最後のひとつを買ったらその後も最後のひとつを売っていたような気が しないでもないが、聞き間違えだろうか。 反対側の売店の「ハイクラスサンド」も気になってはいた。サンドウィッチ にハイクラスって形容詞を使うセンスがハイセンスだと思うの。 さて、カツサンドは厚さがまい泉の1/5ぐらいであった。食べれなくはない。 席へ。 招待席なのだろうか。花道が見渡せるとても良い席だ。ありがとうございます。 おそらくこの席を自分で買うことはできないだろう。 心配なのはセリフがちゃんと理解できるか、寝ないで最後まで観れるか、 の2つであった。まだ歌舞伎が自分に合うかどうかわからないからね。 四幕五場ってことで、12時開演で終わるのが16時半ぐらいである。 結構な長丁場だがこれでも全部じゃないのだ。全部だと九段にもなる。 以前人形浄瑠璃の本であらすじを読んだことがあるが、難しくて忘れて しまった。予習した方が良かったかもしれない。  序幕の新清水の場が始まった。 あっ、言葉がわかるぞ。言葉がわかるってことはストーリーもわかるわけで、 そうなると面白い。大昔の人もやはり恋愛話が好きだったんだな。 セットも隅々までチェック。 木製なのかな? 階段などもあるんだけど、それらも含め全て平面的に 見えるセットが多い。色も淡いのでまるで絵のようだ。 廻り舞台も面白い。セットがぐるっと180度回転して違う場面になるのだ。 なんかドリフを思い出したね。 余裕が出てきたのであちこちを観察し始めた。 舞台の両サイドに御簾(みす)が掛かった部屋があって、左の部屋からは 音楽が聞こえてくる。演奏している人達がうっすらと見えるのでしばらく 観察していた。この人達は演奏しない間も微動だにせず待っているのだ。 太鼓や鉦の音色が好きなので、俺も演奏したいと思った。その部屋に入り たい! 右の小部屋には三味線の人と太夫(語り手)の二人が見える。 下に太夫台があるのに、なぜ御簾の中でやっているのだろうか。 舞台で役者が喋って、左から音楽、右から語り。何とも豪勢な組み合わせ だのう。 語りが状況説明になっているので、それを聞きながら舞台を見ていれば 大体わかるのだが、語りは現代風じゃない唄なので、所々理解できない 部分もある。  二幕目 角力場(すもうば) これはとても有名な場面なので知っている人もいるんじゃないかと思う。 濡髪長五郎、放駒長吉の二人の力士が出てくる場面。 二人とも「長」が付くので、そこから「双蝶々」ってタイトルになったん だって。 舞台上手にたまに人が出てくる。 歌舞伎ってのは左が下手で右が上手である。なぜ右が偉いのかは知らない。 その上手に二本の棒を持ったおじいさんがいつの間にかスタンバっている。 スタンバる瞬間はついに見れなかった。 この人が何をやる人かって言うと、板を棒でベチンベチン叩いて効果音を 出す人だ。斬り合いの場面などではえらく激しく叩いていた。それにして も役者とのタイミングがピッタリである。 「附け打ち」って言うんだって。 気迫のこもったおじいさんだった。居なくなる時も気が付いたらいないっ て感じ。目立たないように気配を消しているのだろうか。 附け打ちは一度やってみたい。附け打ちのプロが使う道具はやはり高価な のだろうか。その辺で棒拾ってきて将棋盤を叩くってのは当然だめなんだ ろうな。 もうひとつやってみたいのは「大向こう」 これは小さい頃から憧れていた。 客席から「○○屋!」って声を掛けるアレである。 タイミングとかセリフとか難しいけど、やってみようかなとか思ったりし たわけだが・・・ やらなくて良かった。 主に3Fに座る人がやるみたいだね。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%90%91%E3%81%86 wikiを見ると細かいルールが結構ある。女性がダメとは知らなかった。 一人掛け声の凄くうまい人がいた。あれはおそらくプロに違いない。  第三幕 米屋の場 難波芝居裏殺し 濡髪が人を殺める場面。もう夢中で観たね。  第四幕 引窓 ラスト。 左の小部屋の人はいなくなった。右の小部屋の人も降りて行く所が見えた。 あっ、太夫台が回転して太夫と三味線が出てきたぞ。かっこいい! 俺もあれやりたい。 引窓はギミックの理解が難しい。 庭の手水鉢に濡髪の姿が映って存在がバレる所や、十次兵衛がお金の入った 包みを外から投げて濡髪のほくろを潰す場面なんて、予習してなかったら 唄とセリフだけでは理解できないだろう。 思ったよりも楽しめた。 歌舞伎面白いじゃん! 戻る