俺と廃屋
ガキの頃、廃屋や廃墟の探検をよくやった。 廃屋と廃墟は区別したいので、廃墟のコラムはいつか書くとして、 今回は廃屋について書こうと思う。 廃屋と廃墟の違い? 廃屋(空家でもいいかな)は個人の所有物で平屋〜3階建、廃墟は会社や公共物のビルを指す、ってことにしよう。 古いものを見るとぞわぞわーっとくることがある。 廃屋の中は、最後に人が出入りした瞬間から時が止まっている。 まるでタイムスリップしたかのような錯覚に陥り、「わ、わ、わ、」と興奮してくるのである。 当時印象に残った廃屋を紹介する。 ◆化石の家(切手の家とも言う) 廃屋に名称を付けるのは困難である。 無難に「地名+廃屋」で○○の廃屋って名称が一般的か。 ここは目の前に地層があって、アンモナイトや三葉虫などの化石が大量に採掘できたので、 この名前で呼ぶことにした。 相当古い木造建築で、大きさは中ぐらいの平屋。 ガラス戸は一枚も無く、すべて木製の雨戸だったようだ。 それらは常に空いていたが、屋根が大きく出っ張っていたので、室内が雨に晒されることはなかった。 風通しが良くそこそこ明るいのも、廃屋にしては珍しいか。 不気味なのは郵便。 誰がどういった目的で送るのか、郵便が頻繁に届くのだ。 郵便配達のおじさんが開けっ放しになった縁側から郵便を投げ込む。これは普通。 その郵便の着地地点には・・・ 数十年分の郵便が山のように貯まっているのだ。 歴史的資料として役に立ちそうなこの手紙、小学生の俺にはちんぷんかんぷんだったのか、 それとも興味が無かったのか、内容は全然覚えていない。 手書きの手紙が大半だったので、意味の有る手紙も多かったんだろうな。 俺達の目的はその郵便物の切手漁り。 これだけ大量にあると、レアなのもたまに混じってたりする。 昔集めた切手はまだ保存してあるので、ここで採集したのもまだ残ってるかもしれない。 ◆廃屋B 名前なんか無かったのでもうBでいいや。 萱葺き屋根の家だが割と小奇麗。中の資料から昭和初期の家だと思われる。大正の可能性もあるかな。 廃屋だが全く荒らされてなく、人が今でも住んでるって言われれば納得できそうな感じ。 新聞・雑誌・ノートなどから、昭和29年までここに人が住んでたことが判明。 29年の有る日の新聞が普通にテーブルの上に置いてある。 雑誌も昭和29年のその月の号。 家族構成は父、母、子供2人の4人家族。 娘が学生で、そのときの教科書、ノート、筆箱等もそのまま置かれている。 学校で使われていたと思われるノートの日付も、29年のその日が最後だった。 これを見たとき背筋がぞくぞくぞく〜って来たな。良い意味で。 生物のノートを見たら、俺達が今習ってるのとそんなに変わらなかったのを覚えている。 字は俺より全然綺麗だったが。 箪笥もチェックしてみた。 もんぺみたいなのが普通に入っていた。タオルも。 昔だから良かったが、今入ったら即座に不法侵入になるんだろうな。 あぁ、昔でも不法侵入は変わらないか。 機会があったらまた廃屋探検をしたいが、いい歳になった今では本当に 通報されかねないのでやめておいた方が無難か。 戻る