俺と学芸会
学芸会は初等教育でしか行われないものである。 中学高校でも似たような催しを行う場合があるが、その場合は別の名称に変わっているだろう。 俺は今でも幼稚園の時の学芸会の記憶をはっきりと覚えている。 たまにその場面が脳裏に浮かんだりするが、まるでビデオでも見ているかのように鮮明だ。 教室の色、空気、照明、嘲笑している父兄達。 父兄を前にしての発表会は、内容が有るような無いような、変なストーリーの劇だった。 練習は数回しかやらなかった。 こんなんでガキがセリフを覚えられるのだろうか。 リハも1回あった。 そのリハは父兄を前にしてのものなので、全然リハの意味が無いような気がしてならないが、 幼稚園の学芸会なんてそんなもんだろう。 俺は準主役である、「目玉時計」の役だった。 他にはブリキ時計なんてのもいたかな。 要するにみんな時計だ。 時計達の自己紹介がメインの劇なので、正義の味方が悪者をやっつけるとか、隣の課の子と不倫を するとか、密室殺人の謎を解くとか、そんなのに出てくるような捻じ曲がったセリフは無い。 もっとも幼稚園児が、「殺してしてやるぜ」とか、「課長、愛してるわ」とか、「でへへへ、よいではないか〜」 とか言ったら気持ち悪いのだが。 俺の最初のセリフは、 「僕は目玉時計です。」 だった。簡潔な自己紹介の文。 幼稚園児が言うとなぜか、 「ぼーくーはーっ!  めーだーまーどーけーいーですっ!」 って間延びした感じになる。 普通に喋れよ俺。 全員の自己紹介が終わると、ストーリーは終盤を迎える。(早っ) その後のセリフは残念ながら覚えていない。 これの元になった話が何であるか知りたいのだが、どこにも載っていない。 知ってる人は教えてください。 戻る