俺と車
俺にも車が好きな時代があった。 免許を取ったのは18の時。 都内の某チャラチャラ系教習所に通ったのが懐かしい。 他の教習所に比べると料金がかなり高いのだが、「女教官」「BMW」の売り文句は、 チャラチャラ系を惹き付けるには充分すぎるものがあった。 しかし一度も可愛い教官には当たらなかったな。 免許取りたての頃は酷い運転だった。 元々アバウトな性格なので、運転に対する考え方もアジア的なのかもしれない。 日本だけだもんね、こんなピカピカの車が走ってるのは。 車なんか走りゃいいんだよ。ぶつけたって機能は変わらないじゃん。 (と言い切りたいが、いい車買ったら考え方変わるかも) そんな俺は、電柱はもちろん、壁とも友達になったよ。 ある日、某有名作曲家の家へ遊びに行った時だった。 信じられないことに道幅がどんどん狭くなってきた。 引き返すのもかなり厳しいし、もうこのままズンズン行くしかない! ギギギギギ、ガガガガガ、 ギャハハ、両脇擦りながら走ってるよ。こんな道あるかっ。 その後、この道は「だんだん狭くなる道」として有名になった。 このように自分の車がどうなろうとも損害は無いのだが、困るのはやはり対人。 危ない目に何度も遭ったな。 ・ばぁさんを轢きそうになった。寸前で急ハンドルを切って回避。 ・工事車両と接触数回。営業車両と接触数回。  相手が営業車なら多少ぶつけても大丈夫だろうって根底の元に、細かいことは気にせず  強引に走ってました。  ぶつけられた相手も「会社の車だからいいですよ」って必ず言ってきたし。  今思うとやばいな。 ・左折時バイクを巻き込んだ。いやぁミラーには映ってなかったんだってば。  この瞬間は流石にヤバイと思ったね。  その銀行マンは倒れたのだが、数秒後むっくり起きあがった。  俺   「大丈夫ですか?」  銀行マン「何とか大丈夫です」  と、短い会話をしてそれっきり。よかった。 ・居眠り運転して気が付いたら対向車線のダンプが目の前に!  この瞬間、景色がスローモーションになった。  俺は死ぬな・・・  っと思ったが、体が勝手に動いて急ハンドルを切って生還。    これで目が覚めるのが普通なんだが、俺は冷めなかった。  赤信号で10分ぐらい寝てしまったらしい。  後ろの車、ちゃんとクラクション鳴らしてくれよ。 ・優先順位を無視して、見通しの悪い交差点に猛スピードで強引に突っ込んだ。  その瞬間。左から車がっ。  急ブレーキを掛ける俺。  スピンする車。  映画みたいだなぁ、なんて呑気なことを考える余裕はもちろんない。  間一髪セーフだった。 と、これは車に乗り始めてから半年ぐらいの話。生きてて良かった。 そこからの運転技術の上昇ぶりは凄かった。 2万kmも走る頃には車が自分の体と同一化し、5万kmも走る頃にはアクロバット飛行? さえ出来るんじゃないかと思えるほどにパワーアップ。 「○○君の運転は凄く恐いんだけど、銀字さんの隣だと安心するわ」 なんて言われたら更に磨きを掛けるしかない。 そして車庫入れコンテストと縦列駐車コンテストで優勝。 車庫入れがどれぐらい凄いかっつーと、 猛スピードでバックして、切り返し無しで両脇10cmの隙間しかないスペースにズゴンと入れることが可能。 奥も壁10cm以内は余裕。これは、駐車するときにいつも壁にぶつけて停めてたので、どこでぶつかるかが 判るようになったんだと思う。自分で言ってりゃ世話無いが・・・ 距離感の掴み方と車両感覚は、スロットの目押しに通ずるところがあるかもしれない。ないかもしれないかも しれないが。 そんな訳でゴリゴリ乗り回して行く内に手に入れたもの。 ・駐車禁止免除の術  特定地域は駐車禁止フリーになった。  本物の「駐車禁止指定除外車」ならどこに停めてもOKだが、残念ながらそれとは違う。  本物を手に入れるには障害者か金持ちでないと無理だよ。  俺は特定地域のゴニョゴニョにゲフンゲフンした結果こうなった。 ・スピードオーバー黙認の術  度が過ぎるのは駄目だが、多少ならゲフンゲフンで可。  シートベルトと飲酒だけはなぜか黙認できないそうだ。 そんな俺も今ではすっかり車嫌い。 理由はいくつかある。 ・事故に巻き込まれて半身不随になった人なんか見ると運転する気が失せる。 ・都会だと車より電車の方が便利。 ・車の維持費を考えると、ずっとタクシーに乗った方が全然安い。 ◆今までで一番欲しいと思った車。   911 買える訳がないが、かなり憧れていたな。 他にも欲しい車はいくつかあったが、大体「ごっつい車」「R系」「見た目が格好いい系」 の3種だった。 戻る